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股関節の症状(痛み・違和感)

以下のような症状・病気にお悩みの方はご相談ください

症状

 

  • 股関節(鼠径部)の痛み
  • 脚の付け根の痛み
  • 転倒したあとの骨折
  • 歩行時の痛み
  • 立ち上がりの痛み
  • しゃがむ動作の痛み
  • 足が伸ばしにくい
  • 足の長さが左右で違う

病気・ケガ

変形性股関節症、大腿骨頚部・転子部骨折、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死症、股関節唇損傷

治療

股関節の治療は長崎労災病院や諫早総合病院で多くの股関節手術を行ってきた土井口医師が担当します。

股関節の痛みの原因には、小児期ではペルテス病、大腿骨頭すべり症などがあり、成人では変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなど様々な病気があります。診断は診察のほかにX線、超音波、MRIなどを用いて行います。治療に関しては、投薬、注射、リハビリなどの保存療法から手術療法まで、患者さんの病状に応じた治療を行っています。注射に関しては、超音波を使用したハイドロリリースや関節内注射を行い、より早い除痛を心がけています。また、股関節周囲の筋・腱付着部痛に対しては当院で導入しているショックマスターが有効な場合が多く、リハビリで行うことができます。

股関節疾患は腰椎や膝の疾患に似た症状を呈することもあります。特に腰椎疾患として加療され症状が改善しない患者さんの中には、主原因が股関節であることもあるので注意が必要です。これはHip-Spine syndromeと呼ばれる概念の中のmisdiagnosed typeと言われるもので、その可能性も考慮に入れた診察や、腰椎のレントゲン撮影を行う際に股関節まで含めて撮影することでより正確な診断が可能になります。Hip-Spine syndromeに関してはこれまでに多くの学会活動や執筆・講演を行っています。

股関節の外傷

学童期では主にスポーツ外傷が多く、骨盤周囲の筋・腱付着部の損傷や、剥離骨折などがあります。また高齢者では骨粗鬆症を基盤とした大腿骨近位部の骨折や、骨盤(恥骨、坐骨など)の骨折などがあります。レントゲンで診断困難な場合もありますが、MRIを行うことで早期の診断が可能となります。高齢者の場合は、骨折後長期の臥床・安静により、歩行能力が低下することが多いため、できるだけ早期に手術を行い、リハビリを行うことで受傷前の活動性を維持することができます。

 

変形性股関節症について

股関節疾患の代表的な疾患である変形性股関節症について説明します。変形性股関節症になる原因は、日本では寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)といって、臼蓋(きゅうがい)による大腿骨頭の被覆が少ないことが原因の場合が多く、女性に多いのも特徴です。その病期は前期、初期、進行期、末期の四段階に分類されています。前期はまだ関節裂隙(れつげき)の狭小などの変化がない状態で、初期は関節裂隙の部分的な狭小や骨硬化・軽度の骨棘形成がある状態、進行期は関節裂隙の部分的消失や骨嚢胞・骨棘形成がある状態、末期は関節裂隙の広範囲な消失や巨大な骨嚢胞・著しい骨棘(こつきょく)形成がある状態です。

一般的には進行期以降の患者さんでは人工股関節全置換術(THA)の適応になりますが、高齢の方であれば初期であっても痛みが強ければTHAの適応にもなりますし、進行期以降でも若い方であればできるだけ、投薬やリハビリなどにより保存療法を行ってもらいます。投薬については現在、変形性関節症や慢性疼痛に適応となった様々な種類の薬がありますので、副作用に注意しながら、患者さんの状態に応じた処方を心がけています。リハビリは股関節のストレッチや筋力増強訓練が中心となりますが、病期が進行した患者さんにはジグリングといわれる、いわゆる「貧乏ゆすり」運動が有効といわれています。当院ではジグリングを覚えていただくため、「健康ゆすり」という補助器具を用いてジグリングの感覚を覚えていただき、自宅でも継続して行うように指導しています。

 

CPO(Curved Periacetabular Osteotomy)について

寛骨臼形成不全が原因である変形性股関節症の場合、病期が前期や、初期で症状が軽ければ投薬やリハビリなどの保存療法が中心となりますが、痛みが強く保存療法に抵抗性の場合は、関節を温存する手術である寛骨臼移動術を行います。簡単に説明すると、骨盤の臼蓋周囲をドーム状に切り、寛骨臼を前外方に回転させて固定し、臼蓋による骨頭の被覆を良くする手術です。ただし年齢に制限があり、50歳までの患者さんが適応となります。当院では股関節の前方から小さな皮切で行う、CPO(curved periacetabular osteotomy)という術式を行っています。この手術はで股関節外側の筋を切らないので、筋力の回復が早いというメリットがあります。この術式は九州でも限られた病院でしか受けることができません。症例数はこれまで80例程度ですが、良好な成績が得られています。

人工股関節全置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)について

THAとは障害された股関節を人工物に置き換える手術です。人工股関節は寛骨臼側と大腿骨側それぞれ複数の部品から成り立っています。寛骨臼側は金属のカップとポリエチレンの組み合わせで、大腿骨側は大腿骨内に挿入する金属のステムとセラミックの骨頭の組み合わせになります。カップやステムに使用されている金属は骨親和性のよいチタン合金です。関節摺動面はポリエチレンとセラミック骨頭の組み合わせを多く使用しています。セラミック骨頭は金属骨頭より低摩耗で、金属アレルギーが少ないといわれています。人工股関節の材質の進歩により、人工股関節の耐用年数は20年以上見込まれるようになってきています。

THAの適応は病期が進行した変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などで、保存的加療に抵抗性で、痛みが強く、日常生活に支障をきたすようになった患者さんです。股関節が原因で腰痛や膝痛が強くなってきた場合もTHAの適応となる場合があります。THAの適応年齢は50歳以降が理想的ですが、痛みや可動域制限が強く、日常生活や仕事が困難な方であれば、50歳未満でも適応となります。

手術に関しては、手術時間は1時間程度で、輸血を要することはほとんどありません。合併症である術後脱臼や感染などに関しては様々な工夫で1%未満となっているため、安心して手術を受けていただけます。使用する人工股関節に関しては患者さんの股関節の状態や形態に応じた機種を選択しています。術後疼痛に関しては股関節周囲多剤カクテル療法や鎮痛薬を工夫して、より痛みが少なくなるように配慮しています。術翌日より歩行開始し、数日で杖歩行が可能となり、術後1週で階段昇降や屋外での歩行訓練を開始し、日常生活動作やバスの乗り降りの訓練まで行い、術後2週で退院となります。社会復帰は職種によっても異なりますが、4週~6週での復帰を目安にリハビリを行ってもらいます。術後長期経過すると人工股関節のゆるみなどの不具合により再置換が必要となる場合があり、1年に1回程度の定期診察をお願いしています。

THAに関してはこれまで1000例以上の執刀経験があり、また難治例といわれる高位脱臼、強直股、再置換例も十分対応可能です。

 

股関節手術 実績
手術名 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度
THA(人工股関節置換術) 83 67 57 39 57 33 13
THAリビジョン 1 4 1 4 2 2 3
CPO(寛骨臼回転骨切り術) 0 0 1 2 2 1 0
大腿骨転子部骨折の手術 0 12 12 3 7 3 8
84 83 71 48 68 39 24
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